2009年10月23日金曜日

The Köln Concert


http://www.youtube.com/watch?v=qMN4U-Alqfc&feature=related
 

 初めてキース・ジャレットの曲を聴いたのは,いつの事だったか.学校の演奏会で誰かがこの曲を弾いていたのだと思うが,私の頭の中では,その時のはっきりした記憶がないまま,場面は中学生か高校生の頃,このCDを買って自宅で聴いているところに飛んでしまう.

 キース・ジャレットは,コンサートを行う街の空気や佇まいにインスピレーションを受けて,即興で曲を演奏するのだという.だから彼のピアノ・ソロのCDは,その殆どがライブ録音で,コンサートが開かれた場所の名前が付けられている.曲名も,その日に弾いた曲が番号順に(あるいはアルファベットを用いて)並んでいる無味乾燥なものだ.しかしそんな風に名付けられた曲は,名前が機械的であるが故に,逆に存在感を増すかの様で,この曲の Köln, pat 2c という名前も,不思議にその硬質で美しい響きによく合うように感じられる.

 いつから聴いているのか分からないくらい,この曲は自分の中で自然な存在になったが,今聴いてもいつも心動かされて,ケルンには行った事がないし,曲が作られたのも30年前になるけれど,いまケルンに行ったらこの曲の何かをその空気に感じられたりするのだろうか,などと思ったりする.


0 件のコメント:

コメントを投稿